群馬老人施設火災に思う


群馬県 問題指摘に対策とらず
NHKニュース 3月22日 19時12分
 群馬県渋川市にあるお年寄りの施設が焼けて10人が死亡した火事で、群馬県は少なくとも3年近く前からこの施設の構造の問題点について住民らから指摘を受けていたのに、「権限がない」という理由で施設を調査するといった具体的な対策をとっていなかったことがわかりました。

 群馬県は「権限がなかったとはいえ、高齢者の安全を守るのは行政の役割と認識している」と対応の遅れを認めました。

 権限がなかったということは、法的に権限がなかったということであろう。

 施設側からいえば、法令を遵守していたということか。

 県といえども、法的な根拠がなかったら、問題点があろうとも、立ち入り調査もできないはずである。

 法を守るのは手段であり、目的ではないと考える。

 法的には問題がなくとも、群馬県がコメントしているとおり「高齢者の安全を守るのは行政の役割」のはずだ。

 「法令遵守」が日本を滅ぼすの著者で郷原信郎氏は、
 コンプライアンスが声高に叫ばれているが、法令だけに目が向き、法令さえ守ればいいという悪しき風潮が起こると恐ろしい。守るべきは、法令の背後にある社会的要請。
であるという。

 法令を守ることは当然ながら、その背後にある社会的要請、ここでは、住民からの施設の構造の問題点の指摘を受けていたことに応えること、つまり、入所者の安全を守るという安全配慮義務があったのではないだろうか。

 これも法の明文規定はないが、最高裁判所の昭和50年2月25日(第三小法廷判決)により、定立された概念である。

 最高裁は、安全配慮義務
「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務」として肯定した上で、これを「一般的に認められるべきもの」として、法律関係(本事件では雇用関係)に基づく特別な社会関係があれば、民間の領域においても、公務員関係の領域においても、この義務を肯定したのである。

民法1条2項

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

 安全配慮義務の法的根拠を信義則(民法1条2項)という一般条項に求めている。

 その義務発生要件があいまいな表現であるため、様々な論点が存在し、多くの研究が行われてきているところであるが。

 しかし、この判例をもとにして、群馬県は調査することができたのではなかろうか。

 明文化された権限がないということも事実といえるかもしれない。であるから、群馬県の言い分にも一理ある。確かに法にしたがって調査しなかったのだから。

 ところが、違法性を疑えるニュースが入ってきた。
 

群馬老人施設火災 申請せずに増改築繰り返す

3月22日23時27分配信 毎日新聞
 群馬県渋川市北橘(ほっきつ)町八崎の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災で、施設を運営する特定非営利活動法人「彩経会」が、建築基準法で義務付けられている建築確認申請をせずに増改築を繰り返していたことが分かった。

 県前橋土木事務所によると、同会や高桑五郎理事長名で、97~04年に3度の確認申請が出された。97年3月の申請は計10人が死亡した北別館と西別館にあたる、木造平屋2棟(各約66平方メートル)の新築。計画概要書によると、用途は「長屋」だった。

 ところが、当時の北別館の図面と、火災後に彩経会が県警に任意提出した今年1月1日時点の北別館平面図を比較すると、長屋部分から南北に大きく増築されていた。

 99年4月と04年2月の建築確認申請は、いずれも北別館以外の新築と増築分だった。

 同事務所の浅川憲一次長は「法で定めた確認申請をせずに増改築をした可能性が極めて高い」とみている。

 一方、県警渋川署は22日、死因が分かっていなかった北別館の3人について司法解剖。2号室の男性と浴室付近の女性が焼死、浴室付近の女性が一酸化炭素中毒だったと発表した。【吉村周平、鳥井真平】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000018-maip-soci

 建築基準法で義務付けられている建築確認申請をせずに、増改築を繰り返していたというのだ。

 ただ、この無届け有料老人ホームの場合は、おそらく一般の建物に適用する建築基準法だけであろう。

 車いすの高齢者がいるのにも関わらず、ドアの幅が狭かったり、構造が複雑に入り組んでいたりして、生活しづらかったと思う。

 福祉施設用の建築基準は、おそらく一般のものと違うはずである。

<群馬老人施設火災>厚労省、規制に慎重姿勢

3月22日21時9分配信 毎日新聞
 群馬県渋川市北橘(ほっきつ)町八崎の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災で、厚生労働省老健局振興課の君島淳二課長補佐が22日、現場を視察し、群馬県庁で記者会見。

 無届け有料老人ホームについて「民間による高齢者支援は推進したい。改めて都道府県に実態把握してほしい」と述べ、規制強化などには慎重な姿勢を示した。【塩崎崇】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000060-mai-soci

 厚労省の課長補佐が規制を強化しないというのは、お金の問題であろう。規制を強化すれば、それだけ、建物にも費用が必要となり、どうように補助金も増やさなければならないであろう。

 民間が行えば費用がかからないという発想からのものと思える。

 安全配慮義務という視点から福祉について再考を求めたい。

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